これまで読んできた子育て本はもしかしたら100冊は超えるのではないだろうか・・・?そんなaccoによるおすすめ子育て本レビュー。
これは全子育て人(びと)におすすめしたい!
というか、中学の教科書に入れてもらいたい!
いやせめて、子どもが生まれたらこの本を全自治体が配るようにしてほしい~!
そんな良本のご紹介です。
子どもも自分もラクになる「どならない練習」(著/伊藤 徳馬)【Amazon】
この表紙の「もういい加減にして!」って、私これまでに何回言ってきたことか…。(遠い目)
この本によると、全然効果ないみたいですね(涙)。
この本のメッセージを、acco的に一言で言うならば、
子育てにも「基礎練」が必要だよね!
ということかなと思います。
子育て講座「ちはっさく」を本で体験!
この本の著者、伊藤さんは、市役所にお勤めの方で、「ちはっさく」という子育て講座を開催していらっしゃるそうです。
それを紙上でも体験できるようにしたのがこの本。
「ちはっさく」??なんだそれ??と思いながら読み進めていくと、元は、公認心理士の渡邉 直先生が作った「機中八策(きちゅうはっさく)」というメソッドで、それのアレンジ版、とのこと。
「ちはっさく」…、なんだか響きがかわいらしいですよね♡
伊藤さんは以前、市役所の子ども虐待対応担当部署にいて、児童相談所にお勤めされていた渡邉先生と出会い、意気投合されたとのこと。
それぞれの立場で子どもの虐待の現場に向き合い、「親御さんも決してそうしたくてしているわけではない」というケースも多々見られてきたお二人が、どうにかして気楽に練習できるパッケージを、と考えられられたのが、この「ちはっさく」なんです。
とにかく、難しいことは抜きにして、ちょっと練習してみよ!?
練習すれば、ちょっとは上達するから。
そしたら、ちょっとだけ子育てがラクになるから!
そんな、ゆるいノリで、肩の力を抜いて、とりあえず「基礎練」してみようよ、というのがこの本のスタンス。
なぜだか、スポーツや音楽の練習は「あり」だけど、子育てになると練習は「なし」となりがちです。不思議です。
(・・・略・・・)
最初はうまくできなくても、練習すれば少なからず上達します。だから、練習をします。
『子どもも自分もラクになる「どならない練習」』―「練習をはじめる前に」より
いいですよね!私、ものすごく共感します。
(3人目にしてやっと、基礎練終わったかな、と思えるくらいだし・・・。)
というわけで、いろいろすっ飛ばして、さっそく基礎練をご紹介~!
「青カード・赤カード」でひたすら練習!
この本には素晴らしいカードが2枚、ついています!
どなる前に使いたい「青カード」と、
思わず出てしまう「赤カード」
赤カードの内容は、「いいかげんにして!」「~~しないで!」「片付けなかったら捨てるよ!」など、ふだん私たちが使い慣れている(笑)カードたち。
それを、少しずつ、「座ってね」「~~してね」「遊びたかったんだよね」などの子どもに伝わりやすい形=「青カード」に入れ替えていこう!という提案。
このカードが、コンパクトにまとまってて見やすくて、ものすごく、いいんですよ~~!
でも私は、本にハサミが入れられないタイプ・・・
そんな人のために、ダウンロードして印刷できるURLまでついている!至れりつくせり。
さて、この青カードのうち、本書では基本の5つ、
「代わりの行動を教える」
「一緒にやってみる」
「気持ちに理解を示す」
「環境をつくる」
「ほめる」
について、それぞれ第1章~第5章に分けて、解説と練習問題があります。
読み進めながら、「自分ならどう言うかな?」と頭の中で考えたり声を出したりするだけで、不思議と、少しずつ勘がつかめてくる感じがするのが、すごい。
最後には総合練習問題があって仕上げもできて、それでも物足りない人には「激ムズ版」がダウンロードできるようになっている!と、本当に盛だくさんな内容です。
第1章「代わりの行動を教える」
あんまり本の内容を伝えすぎると、営業妨害になっちゃうかなと思うので控え目にしておきますが、ここだけでも皆さんに伝えたい、というところがあります!
今から筆者が、みなさんに3つの指示を出しますので、なるべく早く指示に従ってください。体を動かしてくださいね。いきますよ~。
「座らないで!」
「口を閉じないで!」
「変なポーズをしないで!」
さあさあ、どうでしたか?
『子どもも自分もラクになる「どならない練習」』―第1章より
これ、リアル講座だったらさぞかし盛り上がるんだろうな~、って思っちゃいました!
まず受講中は間違いなく座ってるだろうから、一つ目「座らないで!」って言われたら・・・
ビクッ!てなって、座る?座らない?ってなって、しばらくしてから立つ・・・・って、絶対なってると思う~!
3つ目なんてめちゃくちゃ難しくないですか?!絶対変なポーズ取っちゃう(笑)。
ちなみに3つ目は、赤カードの「否定形」と「あいまい」の合わせ技、難易度が高いわけです。
私、これとおんなじことを、普段、子どもに言ってるんだなぁ~・・・・
そう思ったら、しみじみ、「そりゃ伝わらんわな」と思えてしまいました。
よく言われていることですが、「脳は否定形を理解できない」というやつ。自分で実感するとよくわかりますね。
大人ですらそうなんですから、子どもにはとても難易度が高いので、「~~しないで!」の代わりに、「代わりの行動を伝える」という青カードの内容になるわけです。
こんな具合に、まずそれぞれのカードの解説があって、そのあとに、日常生活によくあるシーンを使った練習問題がいくつもいくつも繰り返されます。(基礎練ですからね!繰り返しが大事)
この練習問題が、伊藤さんも2人のお子さんがいらっしゃるだけに「あるある」感満載でリアル。
(スーパーで「イカの目を押さないで」ってなんて言う?とか…。激ムズ!)
最初は楽勝、って感じなんですけど、どんどん難易度が上がっていくので、面白いんですよ~!
私はなんだか「英会話のレッスンみたい」って思ってしまいました。
英会話もよく「スポーツ」にたとえられますよね。こういうケースではこう言う、というパターンをひたすら練習することが近道、と。
同じように「ちはっさく」の「型」を繰り返し練習して、いざという時に使えるようにしていく、というアプローチは、子育てをラクにするためには非常に有効で近道だと、私も思います!
第5章「ほめる」
あともう一つだけ・・・
5章の「ほめる」が、個人的に目からうろこポロポロ~!!で超おすすめなんです。
「ほめる」・・・。
あー、はいはい、それね。知ってますよ。聞き飽きましたよ…。
てか、ほめるところがないから困ってんのよ。
・・・と、反射的にそんな気持ちになりそうですが、もう全然、そういう内容ではないから。
私たちが教える代わりの行動は、「普通の行動」なんです。「すばらしい行動」ではないんです。
『子どもも自分もラクになる「どならない練習」』―第5章より
(・・・略・・・)
親からすれば「普通の行動」は当たり前すぎて目に入らない。目の前で起きていたとしても気づきにくいんです。
(・・・略・・・)
だから、ほめる対象となる行動は、普通の行動です。普通の行動をほめてあげてください。普通の行動は日常生活の中でいっぱい起きています。
あぁ、もう、ここだけでもこの本を読んだ価値があったなぁ。そう思います。
なんだか、涙が出てきちゃう。
ぜんぜん、私、気づいてあげられてなかったなぁ。
・・・
この本を読んだあと、我が家でこんなことがありました。
なぜかパジャマの前ボタンをいつも開けっぱなしにしている長男、ジョージ。
ワイルドだろぉ?
私は「またパジャマの前があいてる!ボタンしめて!風邪ひくよ!」といつも言っていました。
そんなある日、珍しくちゃんとボタンをしめている日があったんです。そこですかさず、
あっ、今日は前ボタンしめてるやん!かっこいい!
って言ってみたら・・・。
次の日の夜。
見て見て!今日もなんも言われてないのに前ボタンしめてるよ!かっこいい??
・・・て聞いてきたんです!
前ボタンをしめる、という、大人からしたら本当に本当に簡単で当たり前のことが、ジョージからしたらめんどくさいのかなんなのか、とにかくやりたくないことで、でもいつも叱られてばっかりで・・・。
私は気づいてなかったけど、きっと、しめてる日もたくさんあったんだろうな。
でも、しめてるときは何にも言われない。
それを、今日は気づいてもらえた、ほめられた。⇒次もやってみよう!
・・・と、まぁそういうことなんだと思います。
いきなり効果があったよ~!(ありがとう伊藤さん!!)
ちなみにこの章の「ほめる」練習問題は、かなり面白いです!
たとえば、ある問題の答えの例がこちら。
「太郎くん、水筒に砂を入れずに持って帰ってこられてえらいねぇ」
『子どもも自分もラクになる「どならない練習」』―第5章より
もう、爆笑しちゃった!
でもこんなこと、子育てしてたらなんぼでもあるある~!(笑)
うちならどんなことがあるかな??
と考えながら、私も子供たちの「普通にできていること探し」を続けていきたいな、と思います。
んー、「コップを両手で持ててえらいねぇ」とか、「ゴミをすぐにゴミ箱に入れてくれたね!」とかかな?普段怒ってることの逆を考える・・・、うわっ、改めて考えてみると、ちゃんとできてることが無限に出てくる!ううむ、なかなか奥が深いぞこれは。
(オレたちもけっこう、がんばっていろいろやってるんだよな!なんでかおこられてばっかりやけど)
あとの3つのカード、
「一緒にやってみる」
「気持ちに理解を示す」
「環境をつくる」
については、ぜひ本書をお読みくださいね!
冒頭の「練習をはじめる前に」がすごくいい。
青カード・赤カードと練習問題だけでもとても価値がある本だと思いますが、本書の冒頭にある「練習をはじめる前に」という章も、すごく良かったです。
子育てが大変なのは「時代のせい」。
そして「子育てにも練習が必要、してないから大変だっただけ」と言ってくれる。
なんだかホッと、肩の力が抜けました。
あと、「この本でできるのはあくまで基礎練習だけなので、ちょっとしか楽にならないよ」とも書かれています。「劇的な効果はないし、他に有効な方法もたくさんあるよ」と。
「うさんくさい練習をして、子どもへの対応がうまくできる可能性が少しだけ上がる」のがこの本なんです。
『子どもも自分もラクになる「どならない練習」』―「練習をはじめる前に」より
だからみなさん、何度も言いますが、練習をがんばってくださーい。
なんて謙虚!でも、これくらいのスタンスのほうが、なんだか気楽で、良くないですか?
もしうまくできなくても、「自分って駄目な母親!」なんて自分を責めたりしなくてすむような・・・。
ちなみに、受講された方のアンケート結果では、「受講前のどなる頻度が10」とすると、受講後の平均値は「6前後」だそうです。
0にはならないけど、確実に「4減った」ということ。これってめちゃくちゃ大きいですよね!?
だって、一日に何回怒ってるか考えたら・・・まぁ3人いたら10回は普通にありますからね、そのうち4回がどならずに穏やかに言うだけですむ、×365日・・・1年で1460回分、楽になるわけです。すごい!
この練習が効く対象年齢
最後に、この本の対象年齢ですが、本書によると「だいたい3歳以上」とのこと。
言葉がしっかり通じる、「4歳~小学校低学年くらいが、一番効果が実感しやすい」とのことです。
だから、2歳半健診とかでこの本を自治体が配ってくれたら、いいと思うのよ~!
ということを、私は切に訴え続けていきたいと思います。
・・・と、この本を絶賛し続けてきた私ですが、どうしても共感できないところがある。それは、著者がこの練習を「うさんくさい練習」とか言うこと!
全然うさんくさくないよ!素晴らしく効果的な練習だよ!
って、声を大にして言いたいです。
私もまだまだ全然できていないけど、このカードをあちこちに貼って、少しずつ基礎練、がんばっていきま~す!
もっと早く、ジョージが3歳くらいの時にこの本と出会いたかった!(まだ出てなかったけど)
もし出会えていたら、ずいぶん子育ての大変さが違っただろうなと思うのよ・・・!今出会えたあなたはラッキーよ!
タイトル | 子どもも自分もラクになる「どならない練習」 |
著者 | 伊藤 徳馬 |
出版社 | ディスカヴァー・トゥエンティワン |
発売日 | 2020/11/20 |
ISBN-10 | 4799326929 |
ISBN-13 | 978-4799326923 |
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